49歳の春、長年続けてきた仕事をやめました。
以前から心の中のモヤモヤが続いていたからです。
朝、仕事に行くのがつらい。でも辞める勇気も出ない。。
出勤前には気分が落ち込むものの、「今日も一日がんばらなきゃ!」と自分に言い聞かせながら出かける日々。。
生活のため、家族のために働くことはもちろん大切。
それでも、どこかで「このままでいいのだろうか。。」という声が、静かに響いていました。
人生の折り返し地点ともいえる50歳を目前にして、私はその声に耳を傾けることにしたのです。
このままでいいの?心のモヤモヤの正体

当時していたクリーナー(清掃)の仕事は、もうすぐ勤続9年を迎えようとしていました。
勤続年数だけを見れば、すでに「ベテラン」と呼ばれてもおかしくない頃です。
勤務先は自宅から、がんばれば歩いて行ける距離にあり、冬には雪が積もる地域に住んでいるため、通勤も便利といえます。
「きっとこのまま定年までここで働くんだろう」と思っていました。
しかし、いつからか心の奥に“小さな違和感”が芽生えました。
仕事に行くのが憂うつになり、笑顔が減り、同じ毎日を繰り返すだけの自分に焦りを感じるようになっていたのです。
「生活のため」「家族のため」―そう自分に言い聞かせながらも、心のどこかで「本当にこれでいいのか?」という問いが消えなくなっていきました。
50歳を前に、自分の心に正直になってみた

ある日、掃除道具を手にしながら、ふと考えました。
「このまま定年まで、この場所で働き続けていいのだろうか?」
家族のために働くことは大事。けれど、自分の気持ちを押し殺してまで続けることが、本当に正しいのか?
「自分が本当にやりたいことは何だろう」
「どんな働き方なら心が晴れるのだろう」
そんな思いが日に日に強くなっていきました。
そして、悩み抜いた末に私は決断しました。
49歳―決して若くはないかもしれません。
それでも「まだ新しいことに挑戦できる」と信じて、一歩を踏み出しました。
あの時の決断は、間違っていなかった

今振り返ると、あの時の決断は間違っていなかったと心から思います。
もちろん不安もありました。
「本当にやっていけるの?」「年齢的に大丈夫?」という声も耳にしました。
けれど、自分の心と正面から向き合い、“自分の人生を自分で選び直した”ことは、何よりも大きな一歩でした。
転職先では仕事量も増え、覚えることも多く、決して楽ではありません。
でも、あの頃のようなモヤモヤはもうありません。
新しい環境で自分の力を認めてもらえることが嬉しく、日々に張り合いを感じています。
心の声は、人生のコンパス

49歳の春に始まった私の転職ストーリーは、終わりではなく「自分を取り戻す」ための再スタートでした。
同じようにモヤモヤを抱えている方へ伝えたいことがあります。
年齢に関係なく、心が「動きたい」と言った瞬間が、人生の転機なのだと思います。
人生の後半戦―
今度は“誰かのため”ではなく、“自分のため”に働くことを選んでみてもいいのではないでしょうか。
心の声に従ったあの日から、私の人生は少しずつ、でも確かに変わり始めています。

